企画展示展示者インタビュー


 

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二組目

展示名「Journey」


展示者名/所属:大山大介/大学院美術研究科デザイン専攻視覚伝達研究室

竹之内洋平/大学院美術研究科デザイン専攻映像画像研究室

facebookアカウント→https://www.facebook.com/mediawagoncamel/?fref=ts



 
MEDIA WAGON CAMEL

大船渡でのワークショップの様子

浅草みちびき祭の様子

車内改装風景

(左)大山大介さん (右)竹之内洋平さん



展示課、以下展:「車内空間を使った展示」とのことですが、作品について簡単な説明をお願いします。

大山:テーマは旅で、具体的な内容はこれから考えていこうかと思っています。

展:どのような車ですか?

大山:八人乗りくらいのミニバンで、今も大学の駐車場に止まっています。
最初は移動ギャラリーをやろうという企画があって、それに関連して旅というテーマが生まれました。
実際に車両を移動して、様々な場所で見てもらえたらという思いがあります。

展:それでは、藝祭に限らず様々な場所へ行っているのでしょうか?

大山:そうですね。デザイン科の他の研究室とのプロジェクトと関わって、8月6日から3日間、
岩手県の大船渡へ行ってワークショップをする予定です。後は、試しなのですが、
院生の作品を積んで浅草でもワークショップを開催しました。
そういう活動をやっていこうと思っています。

展:ワークショップの内容はどのようなものですか?

大山:「夏の灯り」というテーマで、LEDを使ってぼんぼりを作るワークショップです。
さらにそこで作った作品と来て下さったお客さんたちを僕たちが写真に収めて、
その写真を車で展示して大船渡の人達の写真展をやろうかなとか思っています。

竹之内:毎年、研究室で大船渡に行っていて、地元の高校生や、おじいちゃん、
おばあちゃんたちとの交流をしているのですが、「夏の灯り」というのはその企画のテーマでもあるんです。
総合棟の前で車を作っていたら研究室の人に誘われて行くことになりました。
あとは藝祭の前にも建築科の学生と一緒に空き地でイベントをやる予定があります。
車の中なので、とても狭いスペースではありますが、
色々なところに行って展示やワークショップができるというメリットがあります。
藝祭もその一つとして考えています。

展:同じ車を使ってイベントを重ねていくなかで、その展示の内容は毎回変わるのでしょうか?

大山:そうですね。

展:車を使った展示というアイディアはどのように生まれたのでしょうか?

大山:うーん、二人で喋っていく中で…。

竹之内:きっかけはしょうもないことなのですが、二人で飲んでいて、
俺がギャラリーをやりたくて、空き家を探してたんです。
色んな人と何かやりたいなと思っていて。
そして、大山は車をいじりたい、と。それで、2人でやろうかということになりました。
今年の4月の終わりくらいに飲み屋で話して、すぐに動き出しました。
GW明けくらいに岐阜の実家に帰ったのですが、実家が中古車屋で、
たまたま車検切れで廃車予定の車があって、
一年間遊ばせてもらうことになって。
2ヶ月くらいかけて後ろのスペースを展示ができるように改装して、それができたのが7月。
それから参加できるイベントを探したり、声をかけてもらったりして今に至ります。

展:卒業制作など、これまでの作品においても他者との関わりをテーマに制作をなさっていたのでしょうか?

大山:はい。二人とも誰かとコミュニケーションするというのがポイントになっていました。
卒業制作では人に来てもらって完成するタイプの、
ちょっとインタラクティブな、他人を介入させて完成するような作品を制作しました。
今回のプロジェクトもその点では似ています。

展:車内は改造して何もない状態なのでしょうか?

大山:はい。後部座席は全て取り払って、運転席と助手席しかありません。
改造の過程やイベントの様子をFBページで発信しているので、よかったらご覧になってください。

展:藝祭における目標などはありますか?

大山:大船渡の様子をまず展示したいです。

竹之内:車を色んな所に出していくことが一番の目標です。
内容は毎回変わってゆくので、まずは色んなところを巡りたい。
藝祭はまだその段階です。

展:ハードとしての車はそのままでも、コンテンツは変容してゆくということですね。
そのなかでお二人のやりたいことも変化しますしね。

展:藝祭の展示会場ではかなりの数の人が訪れる事になると思いますが、
そういった人の流れについて意識していることはありますか?

大山:固定された美術館やギャラリーでは自発的な人しか来ないのでターゲットが限られてしまいますが、
車で展示することで思いがけない出会いがあり、
そこにメリットを感じています。
ちょっとそこにあったから覗いてみたとか、そういう偶発的な出会いもコンセプトの一つです。
だから、藝祭でも思いもしなかった人が来てくれたらと思っています。
デリバリーではありませんが、どこでも行きますよ、と。

展:ゲリラ的な展示はしないのでしょうか?

竹之内:最初は全部、ゲリラの予定だったのですが…

大山:色々と現実的に厳しいところがあります。

展:プロポーザルでは地域間の文化コミュニティをつなぎ合わせるプロジェクトとありますが、
お二人の展示が具体的にどのような形でコミュニティを繋ぎ合わせていくかについてイメージなどはありますか?

大山:その観点でいうと、今度の大船渡でそれを実現できるかと思っています。
東京の藝大の文化を持って大船渡へ行き、ワークショップをして、そこでの結果や記録、
大船渡の現状をワゴンに詰め込んで、東京へ戻り、また東京で展示をして…
という行為を通じて交流ができますし、
車に載せることで自由な移動が可能なので、より柔軟な結びつきができるとも考えています。

展:作品の入れ替えも容易にできるので、情報の伝達という観点からも柔軟性がありますね。

大山:車の名前をCAMEL、その前にMEDIA WAGONと名付けたのですが、
正にそういう想いがあって、メディアとしての車、入れ物を作るということが出発点でした。

展:藝祭に限らず、様々な場所へ行けるといいですね。

大山:そうですね。行きたい…。

竹之内:行きたい…。

大山:高速代、ガソリン代、駐車場代などの金銭面や、
駐車スペースといった現実的な問題にも直面しているのですが、
それも含めて楽しくやっています。色々と経験したくて、のらりくらりと自由にやっています。

展:実務的な問題がなかったとして、
メディアワゴンの運用でやったら面白そうだなと考えてることはありますか?

大山:やはり人がたくさんいるところに飛び込んでのゲリラ的な展示はやりたいと考えています。

竹之内:妄想だけはたくさんしています。
日本を北から南まで、色んなものを載せたり、やったりしながら移動したり。
東京以外でもやりたいし、東京なら渋谷でもやってみたいです。
先ほど話した建築科の学生とのプロジェクトでは、音楽専攻の学生とも繋がって、
車と音楽というコラボレーションでやろうと考えています。
美術だけではない、全く違うこともやりたいです。

展:藝祭への意気込みや、伝えたいことはありますか?

大山:藝祭はたくさんの人が訪れるので、そこから新しい企画や出会いが生まれればと思います。

竹之内:藝大から西郷さんのところまでは遠いので、インタビューを見た方は来てくださると嬉しいです。