草野絵美 スペシャルインタビュー

草野 絵美

草野 絵美

Emi Kusano

1990年、東京生まれ。慶應義塾大学SFC 環境情報学部卒業。
歌謡エレクトロユニット《Satellite Young》を主宰。
歌唱・作詞作曲・コンセプトワーク・MVディレクションを担当しており、2017年には世界最大の音楽フェス「SXSW」に出演。
個人の活動としては、イベント・CM・ラジオ・TVへの出演や執筆などの傍ら、広告代理店勤務の経歴を活かし、コンセプトプランニングやミレニアル向けコンテンツのコンサルティングなども行う。Adobe「Premier Rush CC」のWEB CMに起用されている他、BS日テレ「SENSORS」では、2018年度MCアシスタントを担当。

 どのようなきっかけで歌手になろうと思ったのですか?

  高校〜大学時代にカメラマンをやっていて、ストリートスナップや東京コレクションに行って撮影をするバイトをしていたし、父が画家で母もイラストレーターだったので美大には入っていなかったけれど表現活動の場は身近にありました。ただ自分で何か世界観を作るってなったら何をやっていいかわからなかった時に、ちょうど明和電機の忘年会でスプツニ子!さんに出会ったんですよ。
 そこでスプツニ子!さんに、「私は子供の頃から昭和のアイドルがすごく大好きで、昭和の雰囲気で現代のテクノロジーを表現したいと思って構想しているんです」ってことをまだ何も作り始めてない段階で相談させていただいたんです。そうしたらスプちゃんが......あ、今スプちゃんって呼ばせていただいてるんですけど、本当にお姉ちゃんみたいに慕ってて(笑)。スプちゃんが「どんどん作っちゃいなよ」って。音楽でミュージックビデオ作ったらいいと思うし、作れる人引っ張ってきて一緒にやったらいいし、コラボレーションして作品を実現したらいいから、1から何か作ろうっていうんじゃなくてあるもので撮影してみたらどう?って言ってくださいました。その後、ベルメゾン関根という80年代の音楽にすごく造詣のあるトラックメーカーの彼と友人の紹介で知り合って、手探りで曲や映像を作り始めました。正直私は楽譜もそんなに読めなかったし自分が音楽をやるっていうイメージも全くなかったんですけど、80年代の雰囲気で何か表現したいという気持ちが先行して始まりました。歌唱力も自信がなかったのですが、鼻歌でメロディー作るところからはじめてみたら意外と楽しくできました。
 関根さんは慶應大学の先輩で同じキャンパスだったので学食で打ち合わせをして、学校の中の撮影スタジオや機材もあったので、映像を作ってみたいっていう友達を見つけてきてミュージックビデオ撮影をしたり手弁当でやっていました。メイクもメイクアップアーティスト志望の友達に化粧してもらって、自分たちでグリーンバックを敷いて作るみたいな(笑)。青春ですよね!それがすごく楽しくて。作ったものをネットにあげたりしているうちにいろんな人にみてもらえて、徐々に世界中のクリエイターの方々とコラボレーションすることによって、Satellite Youngの世界観が形作られました。

Satellite Young
Satellite Young

 楽曲を制作されるにあたって大切にしていることはありますか?

 そうですね、割と直感的に作っているのでその時の気分によることもあるんですけど、メッセージを伝えるための文章にはならないようにはしています。作詞だからこそできる、受け手の解釈次第の言葉遊びを楽しんでいます。歌詞は二つ物語を組み合わせて編成しています。一つは友達や私、映画とか小説で見た恋愛の話だったり、心にフォーカスしたような話。もう一つは世の中で起きている技術革新だったり世界のニュースだったり、こっちは新書で書かれているようなことをピックアップした話で、その二つを組み合わせていることが多いです。構成はJ-popっぽさみたいなところが自分の中に染み付いているので、Aメロ・Bメロ・Cメロ、サビみたいな構成になってますね。1回英語で作詞してみたこともあるんですけど、あんまりしっくりこなくて(笑)。

  歌詞自体は80年代に寄せているというわけではないのですか?

 意識はしてないですけど、活動を始めた当初は基本的に80年代後半から90年代にかけての日本語の使い方みたいなところにサテライトヤングのオリジンはあると思います。でも最近は変わってきてて、1番新しい曲とか今作っている曲とかは結構新しい感じになってますね、2000年代とかになってるかもしれない(笑)。でもJ-popっぽいDNAが入ってる気はします。サビで転調したり、〜〜fly away!みたいな日本語まじりに英語が入ってたり(笑)、そういうところに愛おしさみたいなものは感じるので、散りばめてみたりしてますね。

 Satellite Youngとして活動されていてよかったと思う瞬間はありますか?

 海外の人に聞いてもらって、どんなに文化圏が違う人だとしても自分の作ったものを話題にして繋がれることがあって、それは本当にやってて良かったなと思いますね。
 Satellite Youngは80年代の歌謡曲とかビジュアルが日本のSFアニメやOVAのスタイルをすごく踏襲しているので、海外のそういうものが好きな人たちのコミュニティに刺さったっていうのがあります。日本ではSatellite Youngはマイナーなバンドなんですが、なぜかSatellite Youngのコスプレしてアメリカのコミコンに参加してくれた人がいたり、なんかそういう奇跡みたいな瞬間に立ち会うと、やっててよかったなって思います。
 あとは、アメリカの音楽フェス、サウス・バイ・サウスウエストや上海でのクラブでライブができた時もすごく楽しかった。世界中の人達と音楽を通して繋がれるのは至福です。後は、ミュージックビデオ作ったりとか、自分のジャケットのイラストとかをイラストレーターの人とディレクションして作ったりとか物販作ったりとか、そういう作業が楽しいから、自分ができない表現ができる人と一緒にSatellite Youngを通してやれるっていうのもやっててよかったなと思います。飽き性なのでこうやって多角的に活動できるのも良いところです。1番最初は80年代のリバイバルっていう感じで私の知ってるもののモノマネっぽくなりやすかったんですけど、そこに海外の人の感性が入っていくことによって異質な、異国の日本みたいなのができるのが面白かったです。

 学生時代にしておいてよかったこと、ためになったことはありますか?

 とにかくいろんな人に会えたので自分がメディアの側で働いていたというのがすごくよかったなと思います。高校生の時にカメラを買って、一眼を持ってストリートスナップをメディアに提供する仕事をしていたり、ラジオ局10代のアーティストをキャスティングするなどのこともしていました。自分でもブログやSNSを通してメディアに出入りしていたため、知り合える幅がすごく広がったことを実感します。社会人になると多分会いたい人に会いたいですって言ってアポとってもなかなか会ってもらえないことが多いですが、学生なら会いに行ける人がたくさんいるのです。未来ある人間だからこそ受けられる恩恵があったので、学生時代は自分がメディアになって多くの人に会いにいきながら、世界をひろげていくと良いと思います。

 たぶん音楽業界だけをみてたらSatellite Youngはこういう形になってなかったと思うし、ジャンルに縛られない活動ができたのはいろんな世界が見れたからだなと思います。やりたいことが見当たらないうちは、いろんな世界に飛び込んで影響をうけるのは良いことです。私自身、大学1年生の時に会社を起こしてウェブサービスをやったり、割と毎年違う世界に飛び込んでいました。一年一年で積み重なった価値観の先に今の作家性や活動の軸があるなというのがあって。人とは違うバックグラウンドが積み重なって自分の価値が高まったかなというのはあります。

草野絵美さん
草野絵美さん

 いろんな人にあって自分の表現の幅もどんどん広がっていったという感じですか?

 そうですね。学生時代に複数のロールモデルに会えたことは財産でした。スプツニ子!さんとの出会いも、こういう作品作りたいと思っていて〜みたいなことを定期的に言っていたので、藝大で教える機会も貰えたし学生の時に活動してよかったなと思います。もちろん人に会いにいくっていうことの前提で自分のポートフォリオっていうか、こんな事してます!っていうのがあってこそだと思いますが。

 今お話にあったようにサテライトヤングの活動以前にもアーティスト活動や起業などをされており、また結婚や出産、
 会社勤めなど様々な経験をされてきたと思います。挑戦し続けられる理由や両立できる活力についてお聞かせください。

 自分の中で一貫した世界観の軸があるからかなと思います。人と比べちゃうことも多いのですが、私は我が道をいくという感じ。 私は飽き性なのですが、Satellite Youngを通して歌を作ったり、映像を作ったり、ジャケットを考えたり、物販をデザインしたり、ライブをしたりとか様々な表現が出来ることに喜びを感じています。
草野絵美名義のメディア・アート作品を作るとしてもレトロテクノロジーだったり80年代のマス・メディアの力が強かった頃の世界に自分の中で憧れと愛憎なんかも渦巻いていて、そこが自分の中での作家性というか、いろんな活動していてもそこに一貫したストーリーがあることを持っていれば大丈夫なんだっていう確信があるので活動的になれているのかなと思います。

 あとは活力の源である知的好奇心を絶やさないことも大切です。世の中の出来事に対して常に知りたいっていう気持ちが強いので、その好奇心が低くなった時はメンタルが落ち込んでるのかなっていうくらい好奇心は自分の中で重要ですね。


 学生で結婚、出産もされていて大変なこともいっぱいあったんじゃないかなと思うんですが、そんな時も好奇心が支えになった
 という感じですか?

 そうですね。好奇心もあったし、自分の中で常にマイノリティーでいたい欲求みたいなのがあって。マイノリティーでいたいというか人と同じであることが嫌なところが子供の時からあったんです。みんなと並ぶと結構私不器用なので、のび太くんタイプというか(笑)、なにか違うフィールドで戦っていかなきゃいけないっていうのがあって。そういうのもあって人と違う選択をしていてもある程度自信を持って進めたのかなと思います。

 まあ結婚と出産に関しては完全にタイミングだったなとも思うんですけど、でも学生時代に出産してよかったなと思うことの方が多かったです。両親が近くに住んでいていつでも面倒見てくれる状況で、経済的にもいろんな条件が揃わないとなかなか学生で子供産むってことをみんなに勧められるものではないんですけど、私自身はその選択をして、今子供が小学生になってよかったなと思いますね。

 自分がすごく活力があるかどうかわからないですけど、みんなと違う道を進んでいてもある程度自信を持てるのは、今までのキャリアの積み方だったりライフスタイルだったり、あんまりいろんな人と被らないからもう自分自身の道を進んでいくしかないかなというところがあるかなと思います。そうすると自ずと超個性的な人が周りに集まってくるので、マイノリティー同士仲良くなるみたいなところがあります。

 ご自身が成長されるきっかけとなった、また良い意味で刺激を受けた、など印象に残っている出来事はありますか?

 そうですね。一昨年から少しずつ音楽以外の表現手段としてメディアアート作品を作ることを始めたのですが、結果、CGのカンファレンスであるSIGGRAPHに自分の作った作品『Instababy Generator』が選ばれて。
 それで去年オーストラリアに行ってその展示をしてきたんですけど、今までよりもすごく説明が求められました。スペキュラティブデザインもそうだと思うんですけど、これは社会にどういうことを訴えたいのかみたいなことをうまく自分の言葉で表現しなきゃいけなくて結構苦戦しましたね。 

Instababy Generator
Instababy Generator

 去年一年間、ある技術を使って作品作りを何度も取り組んだのですが。なかなか世界観を起点にしたSatellite Youngやっているときより自分で満足できるものが作れなくて苦戦して、何も作らないと始まらないんですがね。今年はあんまり頭でっかちになりすぎないようにしたいなと思います。結構、クオリティを求めて作品が途中になって終わっちゃうみたいなことが多かったからもうちょっと頑張りたいです。

 あとは、理想の作品を作るのにはお金がすごく必要だなってことは体験しましたね。学生の頃、ミュージックビデオを作りたいって言ったら、才能あるミュージックビデオディレクター志望の学生の子とかが本当にそばにいて、一緒に作って、一緒に磨いていってっていうことをすごく簡単にやってたけど、今から仕事で頼もうとすると、すごくお金もかるし、そうやって思ったものをすぐ形にできる環境はすごく恵まれてたし、それにはすごくお金がかかるんだなってことは最近実感したりしてます。でもとにかく手を動かすことを止めないようにしないと、まぁ手を動かさなくても、考えてるものを人に伝えたりだとかそういうことでもいいから、アウトプットしていかないとダメだなと思いました。毎年ちょっとなにか新しいことに挑戦したくなるから、そのために学んでいます。

 いろんな成長するきっかけはありましたよ、今までは。Satellite Youngがサウス・バイ・サウスウエストでライブしたあとぐらいにメジャーデビューの話があって、レーベルと一緒に曲作るとこまでやったんだけど、すごくそれが大変でした。音楽ってやっぱり興業だから、ライブで人を入れないと何も生み出せないというところがあって、曲もすっごくキャッチーで、バブリーな感じに寄せて作ってくれみたいなことをすごく言われて。最終的に作ったものが全然Satellite Youngっぽくなくなってしまって、うーんどうしようかなって。これは個人でやった方が色々自由にできるし、今サブスクとか自分で配信できちゃうから、色々考えた結果、インディーでやっていくことにしました。今の時代メジャーデビューすることの意義が見出しにくいなと思って。

 思っていたようにならなかった、行き詰まってしまった時の対処法や気分転換の方法などはありますか?

 皆さんもそうだと思うのですが、最近はコロナの影響で、思っていたようにいかなかったことがたくさんありました。展示が中止になったり、MV撮影もなかなか出来ず、海外や地方への移動も制限されています。
 
 巣篭もりが日常になったことで、製作することにやっと重きを置き始めました。最近だと意識的に自分のお金のためにやるプロジェクトじゃなくて、友達と1からアニメのシリーズをつくってみようとか、そういうサイドプロジェクトみたいな、あんまり時間は割けないけど何か新しいこと始めてみようみたいなことを1つ作っておいています。そのミーティングをしてる時がすごく癒しだったりして、友達と会えないけど、zoomで話すと気分転換になるし。

 あとは完全に自分の趣味なんですけど、本読むことが大好きで、本を読むのはすごく癒しになりますね。オーディオブックを聴くのが好きで、オーディオブック聴きながら歩く、とか(笑)。結構その小説とか読むと、本当に自分が体験してない人生を擬似体験できるから、そこから結構言葉を拾っていったり、それを歌詞にしたりしてますね。


 他のところに目を移すというか行き詰まっちゃった物だけに集中しないで他のところに視野を持っていくっていうのがいいんですかね?

 そうですね。あとはミュージックビデオが撮影できなくなっちゃったから、ほんとは地方へ行ってミュージックビデオを撮ろうという話があったけど、それも結構資金繰りがちょっと難しくなっちゃったし、移動するのも厳しいよねってことで中止になっちゃったりして。じゃあ代わりにバーチャルリアリティでできることはないかなって思って今ユニティっていうソフトを使ってCGでバーチャルの自分を動かすことを学んだりとか。ポジティブな解決策が何かないかっていうのはいつも考えてます。

 もう精神的に弱ったら3つしかないと思っていて(笑)。読書と歩くことと人と話すことだと思ってるから、その3つをひたすらやるって感じかなぁ。
 やっぱりなんだろう、ね、どうしようもないことが最近多いから、落ち込むこともあるけど、その分自分の心身は大事にしなきゃいけないなと思っています。自分の脳みそも、化学物質と電気信号が永久に行き交ってるだけの物体だと思ってるので(笑)。そう思うと、あ、今すごいセロトニン足りないんだなとか、すごくブレインバランスが悪いからおかしな判断をしてしまうんだなとか(笑)。そのブレインバランスを整えることに集中してます。メンタルヘルスはこれからの時代より大事になるんじゃないかと思います。

草野絵美さん
草野絵美さん

 お仕事やその他に関して、つい無心でやってしまうことはありますか?

 最近はマインクラフトを子供と一緒にやってます。3D空間で家を作ったりするのがすごい楽しくて。何人かアーティストの友達と一緒に、マインクラフトの中でアート建造物をひたすら作ったりしていて。結構無心でやっちゃうことってすごく大事ですよね。あとは、普段の料理とか、そういうことは気分転換になってるかな。

 曲も全然作れない時や書かなきゃいけないエッセイがある時は、自分が満足いかなくてもひたすら構想だけをタイピングしたり、自分が少しもやもやする気持ちがあったらそれをひたすら文字にして、手で書き殴ってみたりだとか。無心になって続けることはとても大事だと思います。

 これからの将来や人生に関して夢や目標、テーマはありますか?

 やはりコロナウイルスのことがあって、好きなことである程度、経済的に自立することも目標に入りました。
芸術業界だったり、音楽、パフォーマンスだったり、興業、エンタメ業界全般は打撃を受けやすいし、どの業界よりも先に自粛しなきゃいけなかったりして、それでいて、他の業界よりもお金に困ってる人が多かったりするので、そこの脆弱性みたいなところに関しては、考え直さないといけないのかなと思っています。もちろんお金のことはできる限りは考えたくないけど、経済的に自立することも自由に創作するためには大事だなと思うようになりました。好きな人と好きな時に仕事できる、好きな人に仕事を頼めるぐらいの稼ぎは必要なのかなって思ってて。 資金の集め方も、クラファンとか様々な方法があるから、ちゃんと自由になれるように身を固めたいです。

 世の中が変わって、お金を使うところも変わってきましたしね。服とかは買わなくなったし、家を出ないと物質主義から脱している感じはあります。服を買わずに、自分の創作に投資することだったり、何かどこかに寄付したりする、そういうお金の使い方の方がいいかな。それはかなりこの時代で変わってきましたね。

 自分の作品の中でも、社会にどう貢献できるかというところでスタイル、メッセージの在り方みたいなのは考えてみたいなって思います。今取り組んでいたんですけど、Floting Coralっていう作品を一回つくって、それはサンゴが自立的に動くロボットみたいなものをコンセプトモデルでつくったりしたんですけど。今まで表現してこなかった環境問題についても、知っておく必要があるなと思います。そのためにできるだけ一次情報である研究論文や、本を読むようにしていきたいなと思っています。膨大なネットニュースは、わりと早合点してしまいそうなセンセーショナルなタイトルの記事がす ごく多いけど熟考すること。一次情報で世の中について知って、それを作品に昇華していけたらいいなと思います。

 早くコロナウイルスが落ち着いたらいいなと思うんですけど、今できることで作品を作ることか。Emi Satelliteという名前で今度ソロプロジェクトとして、曲やビデオを出して行きます。

 コロナウイルスやSDGs、テクノロジーによってこれからの芸術はどうなっていくと思いますか?

 そうですね。これからも多様化してくると思うんですけど、芸術家、個人の表現者みたいな人がもう少し自分でお金が稼げるような仕組みが必要かなと思います。アートっていうのは、アートマーケットに出て、すごく高額な値段でポップアート売ってる人と、すごく貧乏な人とで二極化してるから。ミュージシャンやYouTuberの人とか、だんだんそういう風になってきてると思うんですけど、アートのプラットフォームみたいなのってあまり無いので、あったほうが良いかなと思います。スープストックの会社の社長さんの遠山さんっていう方がアートスティッカーっていうサービスをつくってるんですけど、それは作品に対して少額でお金を払えるみたいな仕組みがあったり。そういうのがすごく必要になってくるかなって思います。

 確かに政治とかの面でも文化とかの地位が低いと思うし、そういう課題はあるなあって思いますね。

 うんうん。

草野絵美さん
草野絵美さん

 では最後に、芸大生に一言をお願いします。

 皆さんは歴史的に観てもとても大変な時期に美大生にをやってらっしゃると思います。キャンパスにある作業場や工具など、使えるツールへのアクセスが出来ず、家で粛々と勉強するって本当に辛いことじゃないかなって思うんでけど、学生時代の時間を大切にして、できるだけ自分の作品を国境を越えて発信していって欲しいと思います。遠隔で学友たちと得意なことを話し合って、協力しあって一人じゃ作れないものを作ってみてもいいかも。そして、必ずYouTubeやVimeo、 Behanceなどにあげてみる!今時間がある分、どんどん色んなところに自分を売り込んでいったらいいと思います。自分の作品をきっかけにいろんな世界が見られることを期待しています。

 ありがとうございました。

取材: 飯塚 美愛
   深瀬 絢美
    籔 杏奈
撮影: Miki Kusano
構成: 飯塚 美愛