新型コロナウイルスによって個人の生活から政治経済にいたるまで、社会のあり方は変化を余儀なくされた。
とりわけ、実空間での展覧会を制限されたアート業界への影響は非常に大きい。
しかし、東京藝術大学が本年度の大学祭を「バーチャル藝祭」として開催することを発表したように、わたしたちはこの状況下における打開策をテクノロジーの活用によって見出そうとしている。
本イベントは、ブロックチェーンを用いアート作品の来歴を記録していく技術を開発するスタートバーン株式会社施井泰平氏から、世界で活躍するキュレーター長谷川祐子教授へのインタビューとなっている。
テクノロジーを活用したデジタルアーカイブスの可能性を出発点に、なぜアートにおいてアーカイブスが重要なのか、従来の方法では何が見落とされていたのか、などのアクチュアルな問題が長谷川教授によって語られる。
スタートバーン株式会社施井泰平氏
1977年生まれ。少年期をアメリカで過ごす。東京大学大学院学際情報学府修了。2001年に多摩美術大学絵画科油画専攻卒業後、美術家として「インターネットの時代のアート」をテーマに制作、現在もギャラリーや美術館で展示を重ねる。2006年よりstartbahnを構想、その後日米で特許を取得。大学院在学中に起業し現在に至る。東京藝術大学での教鞭を始め、講演やトークイベントにも多数登壇。
長谷川祐子教授
キュレーター/美術批評。京都大学法学部卒業、東京藝術大学大学院修了。金沢21世紀美術館を立ち上げ、現在、東京都現代美術館参事、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授、犬島「家プロジェクト」をディレクション。タイ、モスクワ、ベネチア建築等を含むビエンナーレ、数々の国際展を企画。フランス芸術文化勲章、ブラジル文化勲章を受賞。主著に『破壊しに、と彼女たちは言う──柔らかに境界を横断する女性アーティストたち』(東京藝術大学出版会、2017)など。